2019年12月07日
9月の本!
振り返れば9月はこんな本を読んでいた!
・ 営繕かるかや怪異譚 その弐 - 小野不由美
・ 大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう - 山本巧次
続編です。
営繕とは、建物の営造や修繕をすること。
本作は、営繕屋・尾端が様々な『いわく』のある人を営繕という手段で救う物語。
いや、中には救われたかどうか微妙な人もいたか。
営繕が胆なので、当然の事ながら何か起こるのは家が多いけど、それにとどまらず。
今回は次の六編。
芙蓉忌、関守、まつとし聞かば、魂やどりて、水の声、まさくに
では、恒例の超あらすじスタート!
【芙蓉忌】死んだ弟の部屋の隙間からは、隣の家の部屋が見える。そこには、芸子らしきもの哀しげな女の後ろ姿が。覗き見ることが生活の全てとなった貴樹はやがて。
【関守】童謡『通りゃんせ』が嫌いな佐代。その理由を探るうち、少しづつ子供の頃の記憶が蘇る。
【まつとし】居なくなった猫の小春が帰っ
てきたと喜ぶ息子。そんなはずはないと父にはわかっていた。何故なら事故で死んだ小春を埋めたのは自分だから。
【魂】楽しいはずの長屋のリフォーム。しかし、物の扱い方を間違ったが故に恐ろしいことに。
【水】あの日川で溺れた友達。見殺しにしてしまった後ろめたさを抱え続ける弘也の背後には、あの時の水の臭いと共に死んだ友達の姿が。
【まさくに】秘密の屋根裏部屋にはぶら下がる黒い影。それは、首をくくって死んだまさくにさんの幽霊だと祖母はいう。片眼がなく片脚もなく血を流しながら近寄ってくるのは本当にまさくにの霊なのか。
今回は尾端の関わり具合が控え目な気がしたけど、前回はどうだったかなー。
怪奇現象そのものは怖いけど、どれも救いのあるラストなのが幸い。
あ、『芙蓉忌』は救われたかどうか微妙なところだけど。
営繕で救うちょっと風変わりな物語。押し付けがましくない優しさが心地よい作品です。
推理ものを探していて見つけた本。
舞台は江戸。いや、『主な』舞台は江戸、と言うべきか。
なぜなら、主人公のおゆう--またの名を関口優佳--は平成の世と江戸を行き来しているのだから。
そう、本作はSF謎解き時代小説なのです(笑)
亡き祖母から受け継いだ家には、江戸に続く、いわゆるタイムトンネルがあります。
実は、優佳の祖母も江戸と現代を行き来していたのでした。
えー、作品も作者も全く知らなかったのですが、『このミス』の大賞の最終選考まで残った隠し玉だったそう。シリーズものです。
江戸での捕物に協力したおゆうは、以降もちょくちょく手伝いをしています。
タイトルに『科学捜査』とありますが、江戸で手に入れた物証(指紋とか血のついた布とか)を現代へ持ち帰り、知り合いのラボで分析してもらっているのです!
ただし、いくら科学的に実証されても、江戸ではなんの証拠にもなりません。科学捜査で得られた結果をどうやって江戸での事件解決に結びつけるか、も見どころです。
薬種問屋の息子殺害と闇薬事件を発端に、様々な人物や思惑が絡み合っていきます。
それを解きほぐしていく、おゆうに八丁堀同心の鵜飼伝三郎、そして分析を請け負う宇田川など。
若干、都合良すぎる感が無きにしもあらずですが、そもそもの設定が設定なので、まぁいいかというレベル。
それよりも、優佳の伝三郎に対するがっつき具合の方が気になる(伝三郎はイケ面の男やもめ)。
『江戸じゃコンドー厶使えないと思ってピルを飲んでる』って記述は正直引くなぁ(苦笑)。
作者の年齢的なこともあるのかもしれないけど、優佳や現代に関する表現に時折ステレオタイプ的な野暮ったさを感じるなぁ。
楽しく読んだけど、まぁ、続編はその内にーって感じかな?って思っていたのですが、ラストのラストで俄然この先が気になってきた!(笑)
伝三郎のまさかの告白。その内容に驚き!そうきたかー。
という訳で、次も読んでみよーっと。