2025年10月04日
9月のほほーん
終わりなき暑い日が続く9月。
夏定番の怪談ものもまだまだ楽しんじゃおう!ってことで。
・営繕かるかや怪異譚 その肆 - 小野不由美

しっかりシリーズものとして定着した本作。第4弾になります。
家や場所にまつわる怪異譚。今回はどんな展開を見せてくれるのでしょうか。
では、超あらすじにひとこと感想を添えて。
【忍びよる】単身者専用マンションに住む拓史。帰宅途中に手にした落とし物のスマホから聞こえた声。直後からオレンジのベストを着た謎の男の影がついてくる。
:まさにとんだとばっちり状態の拓史。マンションのエレベーターに玄関扉。わかりすぎる位の舞台設定に、マジ怖かった。尾端のアドバイスで拓史は身を守ることが出来るのだろうか。続きが気になる…。
【迦陵頻伽】文美の家に代々祀られている内神様。見え隠れする猿のような影。文美はその猿たちに見覚えがあった。文美のことをあからさまに無視する課長の南川にそいつらは憑いているのだから。
:『迦陵頻伽』という言葉を初めて見たのはチームバチスタシリーズだったかしら?などと思いながら読み進め。前話に比べてドキドキ感は少なめ…などと安心していたら、ヤバイ奴・南川がヤバさMAXで登場。南川が元々ヤバめな人物だったのはわかるけど、内神様を祀っている家系の文美だから異常さが増殖した?
【鉄輪(かなわ)】幽霊屋敷と呼ばれる古民家。所有者の仲川はそこを改築してホラー系のギャラリー兼カフェにするつもりだ。工事関係者も怯える現場から発見されたのは柱に打ち付けられたおびただしい数の藁人形だった。
:いや、アカンって。何がアカンかは本編をお読みください笑。興味本位で怪異に近づいてはいけませんね。戒めですよ、戒め。
【いつか眠りを】築四十年の古い家を買った葉村。将来に諦めを感じていた中で確保した居場所。しかし、その居場所すら手放すことになりそうな事態が。体を温めることのない風呂の湯。違和感はほどなく怪異となって葉村に迫り来る。
:帰宅の電車内で読んでいたのがこの話。いやいや、この後お風呂なんですが?
読み途中だった最後の頁を読む。きっとこの頁を読めば平穏にお風呂に入ることが出来るはず。
うん。心ある仕舞いでした。
【夜明けの晩に】眠るたびに見る同じ悪夢に悩まされる高典。住む環境が変わったせいかと考えたが、睡眠不足で衰弱していく我が身に危機を感じていた。黴に覆われていく洗面所、夢の中で繰り返される『かごめかごめ』の唄。後ろの正面にいるのは一体誰なのか。
:やっぱり、童謡ってそこはかとない怖さがあるなぁの典型的な例、かごめかごめ。
場所が悪夢を呼んだのか。尾端の「本人の自覚も故もないところで恨みを買う、ということはあるのです」という言葉は、考えたくも無いけど事実避けようの無いことでもあり。2つの見えない怖さのあるお話。
【風来たりて】新築の分譲住宅に夫・昇と越してきた梓紗は、家の中で聞こえる謎の声に悩まされていた。ほどなく近所の人々も同じ声を聞いていることを知る。声の出所は何処なのか。一体誰の声なのか。怪現象には分譲地付近一帯の土地造成が関わっているのか。
:新興住宅地あるあるな。子供のみならず大人も見たり聞こえたりと、かなりの恨みがある模様。祠や石碑には必ずそこにあるべき必然性がある訳で。やはり軽々しく扱ってはいけないものなのでしょう。土地には土地の理があるものです。
出過ぎず控えめな尾端さんのスタンスは変わらず。あくまで選択肢の提案をするのみです。
決めるのは当事者本人。彼らの出した結論がいい結果へと向かいますように。
好きだった話は、『いつか眠りを』と『夜明けの晩に』です。前者は自分が体験したら想像出来ないくらい怖いだろうけど、葉村の優しさが伝わってきました。
後者は理不尽極まりないところが良かったかな。理不尽な話が好きなもので笑。
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2025年09月07日
8月の本…その2…というかむしろその1
8月に読んだこんな本。
・旅する小舟 - ペーター・ヴァン・デン・エンデ 著・岸本佐知子

お初にお目にかかるベルギー生まれの作者。
ショーン・タンを思い起こさせる文字の無い絵本。いわゆる大人絵本ですね。
見返しに広がる地図。アメリカ大陸にヨーロッパ大陸。長い旅を予感させます。
紙で船を折る二人の人物。船は大海原へと滑り出します。
本作品はモノクロームの世界ですが、緻密な画に驚かされます。点と線が織りなす世界。
実在するものから空想の産物まで、頁には不思議な生き物や光景が溢れています。
魚人や海底から伸び上がるチンアナゴ、チェッカードパターンがお洒落なタツノオトシゴ、象のようなシマウマのような。時にはユーモラスで、時には不気味で。
小舟は大海原を漂います。あらがうことなく流れにまかせ、不思議な世界を進んで行きます。
見上げるオーロラ、行く手に立ち塞がる氷山、あっ!潜水服をきた魚人に掴まれた!
黒煙を吐き出す大型船。空からは幾羽もの鶏が降ってきます。腹を見せ海に漂う魚たち。心なしか小舟も頼りなさげに見えます。と、鉄砲の弾が船の帆に穴をあけた!
波をくぐり、ウツボのような巨大海獣のトンネルを抜けると、地上には海水パンツをはいた二本足の魚。
漂うクラゲに見送られ暗い海底に。ドフラインイソギンチャクみたいな気持ち悪い触手にこねくり回されながらもなんとか水面へ。興味津々のアザラシたち、そびえ立つ灯台。
港には人々が集い、一角獣は囚われの身。その場所ならあっちだぜ、船乗りの説明に、ありがとう。船は進み街の中へ。水路にはサーカスさながらピエロが笑う。おや、シードラゴンも一服中かな?前方に家が見えてきた。戸の向こうには人影が浮かぶ。
そうして船は終着地へ。階段を登る姿に刻まれた数々の模様は、これまでの旅の軌跡か。
絵本といいつつ結構ページ数が多いです。
長い旅路は単なる小舟の冒険譚に終わらない、何かを暗示するような。
穏やかに波に揺られることもあれば、荒波や危険に飲み込まれたりすることも。でも、そんな中でも誰かに助けられたり。時には小舟も誰かを助けたり。
読み進めていくうちに、小舟に自分を投影していることに気づかされます。
最後の地図には船の航路が記されています。
あ、タツノオトシゴとはカリブ海でお別れしたのね笑
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8月の本…
いいたくないけど、つい言っちゃう。暑い。
で、こんな本を読んで和んでみました。
・お梅は次こそ呪いたい - 藤崎翔

お梅、第二弾!戦慄の前作に続き、約五百年ぶりに蘇った呪いの人形・お梅の新たな殺戮劇が幕を開ける――。
なぁーんて。テヘっ。
謎の首だけ人形から力を授かったお梅。次こそは、次こそは…
恐怖に震えつつ、超あらすじ~。
『間者童を呪いたい』
小学校受験を控えた未央。両親の仲がぎくしゃくしていることに心を痛めている。そんな池村家に入ったお梅が両親の仲を更に悪化させる。そして受験面接当日。未央は驚くべき言葉を発する。
『母子家庭を呪いたい』
反抗期の息子・修馬と知的障害のある娘・彩乃を一人で育てる香取直子は限界を迎えようとしていた。学校で嫌々不良グループに従っている修馬のカバンの中に忍び込んだお梅は、香取家と不良グループ両方を不幸にしてやろうと期待に胸を膨らませたが…。
『二世帯住宅で呪いたい』
手伝いはおろかこちらに目もくれない夫・卓雄と娘・理香。谷元良絵にはあきらめの気持ちしかない。二世帯住宅の片側に暮らす寝たきりの母・千寿子との会話が唯一の救いだ。ある日隙を見計らって千寿子の部屋の中を覗いたお梅だが、目の前には驚きの光景が広がっていた。
『恋患いで呪いたい』
恋患いに悩む裕太に拾われたお梅。恋心を打ち砕いて裕太が自害するよう仕向けようと企むお梅。一方、裕太が想いを寄せるレストランのウェイトレス・理香はある手紙に悩まされていた。
『しんがあそん 某(なにがし) を呪いたい』
一発屋といわれるシンガーソングライターの恭也。今では自らの事務所のマネージャーであり恋人の亜沙実のヒモ状態だ。恭也の自殺願望を感じ取ったお梅は、手始めに恭也、そして後追い自殺で亜沙実も消し去ろうとしていた。
あらすじを読む限りだと凶悪な雰囲気のお梅ですが、実際は…はい、人間を呪い殺すことを至上の命題とし、人の恐怖に歪んだ顔を見るのが喜びという、生粋の(笑)呪いの人形です。でも。でも。呪いたいのに、呪えない~♪
そう、前作に引き続き、不本意にも『幸せの人形』になってしまうお梅。
毒舌だけどなんかかわいい。ギャップ萌えってやつですか?
いや、家にあった日本人形が怖かったことを思い起こせば、うっすら湛えた笑みが何とも言えぬ不気味さを周囲に振りまいているのは想像に難くない。
今回は、叙述トリックが随所に見られましたねー。それを説明する作者(笑)。
五百年振りに目覚めたお梅が初めて出会う現代語のちょっとした解釈のズレも面白いです。作者の言葉へのこだわりだね。
お梅もどんどん現代の知識を増やして成長していくなぁ~。
さて、お梅が無事?に人間を呪い殺せる日はやってくるのでしょうか。
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