2026年01月31日
2026年1月の本 目出度いその2
三島屋変調百物語シリーズ最新作、拾之続。
猫がいっぱい!の表紙。今回はどんな語り手からどんな話が聞けるのかな。
十作目ということで一区切り…という訳かどうかはわかりませんが、まずは二代目聞き手・袋物屋
三島屋の富次郎の一大決心で幕を開けます。富次郎の兄・伊一郎にも人生の転機が訪れたりと、百物語の外でも何かと気忙しい三島屋。
序にあるように、時には明るい方へ導き、暗い方へ連れ去ることもある言葉の力。
ってなことで、超あらすじ。
猫の刻参り :
語り手・お文の母方の祖母から聞いた不思議な猫神様との出会いと別れの話。猫神様や猫たちによって、心身に傷を負いながらも生きていく力を得たおぶん。そして、そんなおぶんの話はまた、同じように傷つき死を選ぼうとしたお文を立ち直らせるものだった。
甲羅の伊達 :
かつて極悪非道な野盗の一団に襲われた村。再びあの悪夢が訪れようとしている。ヌシ様・三平太の操る水の力も借りて、今度こそ村を守り抜く。決死の覚悟は報われたが、同時に犠牲も生むこととなり…。
百本包丁 :
村を襲う業火から命からがら逃げてきた松江と初代の母子がどり着いたのは不思議な屋敷だった。そこで料理人となることを命じられた母子。百本の包丁を使い切るまでは屋敷を出ることは許されない。好奇心旺盛な初代にとっては何もかもが驚きの連続だった。山姥の存在もその一つだった。
富次郎の話 --- 命の取引き :
死の床に伏す兄・伊一郎。己に出来ることは何か。富次郎の心は決まっていた。これまでも出会った謎の男。人の姿をしているが人ではない。そんな異形の者と取引をする。もちろん兄の命を助けてもらうのだ。そして、その対価として富次郎が差し出したのは…。
『猫の刻参り』と『甲羅の伊達』は語り手の実体験では無く、祖母やお店の大旦那の話。
『猫の~』は端々に出てくる猫の様子が可愛い。「んニャ」なんて言われちゃうと口元がつい緩んでしまう。話の内容はそれなりに重いのですが、二人の女が救われたという希望のある話なので読後感はよし。女と猫、二つの存在の交わり関する記述は興味深いです。
『甲羅の伊達』は野盗たちの非道振りが胸クソ悪いのですが、それとは別に二度目の襲撃で無事に生き残った村人たちの所業も非情なものです。このシリーズでは時代故のとか社会の仕組み故の理不尽なことが多々出てきますが、この話もそんなところがあるかなぁ。野盗を撃退する場面はハラハラ・ドキドキ。思わず、「いけー!やっちまぇー!(言葉悪し)」と叫んじゃいそうな臨場感です。
『百本包丁』今度は山犬!モフりたい笑 松江と初代母子に起こった出来事は不運ではあったけど、初代の明るさに救われるお話。そして、お腹が空くお話である笑 あーあー、あんなご馳走食べてみたいなー。
良くも悪くも女の執念があっと驚く展開に。生首が飛ぶなんて怖すぎ…ってか小さい黒目の方が怖い。山姥にまつわる過去は悲しいものでした。これも作者の「女」という生き物に対する想いを感じた作品でした。
今回は百物語本編のみならず、三島屋を巡る騒動も結構なボリュームで書かれている印象。特に伊一郎の恋バナ…いや、そんな軽い&明るいノリではもちろんないのですが…嫁取り騒動の行方は物語後半に暗い影を落とします。
そして、やっぱり出てきた謎の影と富次郎の取引も、以降の物語に陰鬱なものとして絡んでくるのでしょう。
三者それぞれの百物語でしたが、『百本包丁』が一番好きだなー。というか救われるお話でした。
どこまで続くかわからない本シリーズですが、またの機会を楽しみに待っておきましょう。
ブログランキング参加中!
バナーをポチッとお願いしたいにゃ。
人気ブログランキング
2026年1月の本 目出度いその1
と書いている今は、早1月も終わりという。
今月は図書館本が一気に手元に来るという、まぁまぁありがちハプニングで、がんばって読書。
がんばってって言っているあたりが何ですが、今年は読書に力を入れていこう~!と新年の抱負にしてみたり。いや、してみたい。
で、読んだ本は以下の3冊。
・うたかたの娘 ー 綿原芹
・時計館の殺人 下 ー 綾辻行人
・三島屋変調百物語拾之続 猫の刻参り ー 宮部みゆき
どんなにがんばったかわかるであろうラインナップ。
その1と2に分けて参ります。
本作でデビューされた福井県出身の作家さん。第45回
横溝正史ミステリ&ホラー大賞の大賞受賞作品です。
福井と言えば人魚。恐竜よりも人魚。
同県出身の作家さんが書く人魚は、どういう風になるのかな。では、早速あらすじ。
あぶくの娘 :
ナンパした女性に話したのは僕の高校時代の思い出。美しい水嶋藍子が語る薄紅という人魚伝説。水嶋は言う、自分は人魚かもしれないと。僕は確信する。やっぱり僕が欲しいのは水嶋藍子だ。
にんぎょにんぎょう :
見知らぬ老婆から強引に渡されたのは、憎い相手を呪い殺すことが出来るという陶磁器の人形。死んで欲しい人間はいる。逡巡する私の思いは美人の派遣社員・茗荷谷夕海子の登場で揺れ動く。
へしむれる :
経営の傾きかけた古い水族館に現れた驚くばかりの美女・夜明夕海子。保守スタッフとして働く俺に何かと話しかけてくる夕海子に俺の彼女・杏は嫉妬している。俺が好きなのは杏だけなのに。
鏡の穴
:
遠い昔の記憶。火丸と一緒に旅に出ることは叶わなかった。おしゃべりをしたり遊んだりしていた村の娘・ナユ。私は罪を犯した。人魚とは?人間とは?美しいとは一体何なのか。
思っていたよりホラー寄りでした。
連作短編の本作。各話異なる語り手により話が進んでいきます。登場人物の一部も交差します。
色んな意味で印象深かったのは、「へしむれる」かな。かなり突飛な話。いやいや、そんなんおかしいやろ!と突っ込みどころはあるのですが、全体的に一番充実したお話かな。
どの話も、ラストのちょっとしたオチに、「へっ?」と驚かされます。
ネタバレになるので書きませんが、人魚という存在に関する解釈が興味深かったです。
永遠の命、と言ってもそこには幾つかの形があり。
えーっと、今風に言うとルッキズム?を取り扱った作品であります。個人的にはルッキズムを語るために人魚を使いました的な印象。人魚主体のお話かなーと思っていたので。
一番、人魚主体として書かれているのは「鏡の穴」。ここで、各話に登場してきた老婆や夕海子の真の正体が明らかになります。こういうの読んでいると、不老不死ってどうなのかしらと考えてみたり。
人魚っていうと、どこか儚げなイメージがありましたが、どっこい図太く生きてます笑
犯人は当てることが出来た。
でも、あのトリックって…。
タイトルからして、時計が鍵なのはもちろん想像はつく。でも、あんな大掛かりな、壮絶な、そして悲壮な。解るわけないやろーっ!
っと、結末からスタート。
はい、『時計館の殺人』下巻でございます。
いやぁ~、思った通り年を越してしまいましたぁ。上巻の記憶を呼び起こせ!と、いそいそと頁をめくる。
そうだそうだ、あの人が殺されたところで終わってたのよね。
これまでの予想では殺されるはず無いと思っていた人だったので、これは推理の方向を変えねば。というか、真相がわかってみれば彼が殺されたのって、不運としか言いようがない。と、息つく暇なくあの人まで…。まぁ、想定の範囲内だ。
あぁ、じれったい。館のからくりを見つけるも、事態の打破には至らない。
鹿谷たちは新館やその他を探索中だしー。喫茶店に行ってる場合じゃないって~。早く異変に気づいて~、って無理か。
ネタバレになるのであれやこれや書けないから、何やらとりとめの無い独り言のような感想になってしまった。
運命のいらずらなんて言うけど、些細な出来事が歯車を狂わせる。
事件の発端もそんな小さな、でも当人に取っては生死に関わる重大な出来事だった。
他人の何気ない一言が彼らの人生を狂わせる。狂ったままにするのか、軌道修正を試みるのか。今回の事件の犯人は、残念ながら前者のまま突っ走って行ってしまった。やるせないなぁ。
ブログランキング参加中!
バナーをポチッとお願いします!!
人気ブログランキング
2026年01月09日
12月の本 師走~
年も改まった睦月ゆえ…ってなことで、2025年最後の月はこんな本を読んでいました~。
・グラスホッパー ー 伊坂幸太郎

本作はいわゆる、『殺し屋シリーズ』の第一弾。
実は、次作の『マリアビートル』を先に読んでました。
え?その前に本作があるなんて、読み終わってからしりましたとさ…というたまにやらかすパターン。
あとがきを先に読む人、後で読む人。
私はあとがきを読みませんでした笑 以前は。
でも、読んでみると、へぇーっていう気付きがあったりするので、読んだ方がいいのかなって思ったり。
本作の場合は先にあとがきを読むと、文章の妙も楽しめるのではないかと。って、ネタバレになるパターンもありますが。
何故かあとがきのことから始めてしまいましたが、そろそろ本編のお話を。
主な登場人物は、ほぼみんな殺し屋です笑
鈴木に蝉、鯨に槿…スズメバチやら、果ては劇団なんて特殊演劇集団ですか?みたいな輩まで。
事の始まりは『令嬢』と呼ばれる会社の社長・寺原の長男の事故死。
その場に居合わせた『令嬢』の社員・比与子と鈴木は長男が車にはねられる瞬間を目撃。が、それは誰かに押されて道路に飛び出したのでは?というか、現場を立ち去る男を見た瞬間、殺し屋の勘なのか、あいつがやったんじゃね?となり、あれってもしかして実は都市伝説かと思われている存在の『押し屋』と呼ばれる殺し屋なんじゃね?となり、なんやかんやのこれまでの経緯から鈴木が『押し屋』と目される男を追うこととなり…。
と、テンポよく軽やかに怒濤の展開。
あ、結構ネタバレしちゃったかな?
男を追う鈴木、自殺をさせる男・鯨、華麗なナイフさばきで仕事をこなす蝉。
三者それぞれの語りで物語は進んでいきます。鯨と蝉、どっちも漢字一字だからごっちゃになりそうだった笑(というか、ちょっとなってた)
生々しさの中にある非現実感。キャラクターは人間臭くもあるのに、どこか他人事のような。
世の中、案外狭いようで、それぞれの思惑がやがて一つの点に集約されていきます。
にしてもさー、苦手な人が読んだら途中で本を閉じてしまうんじゃないかと思われるような、殺しのシーンの描写よぅ。
みんな結局まともな人達ではないので、やることももちろん容赦なし。ドロドロとしていないところが逆に怖かったり。
でも、小説としては面白く読めました。人として少し?成長した鈴木と、淘汰されていった人たち。これが人間界における摂理か?
やっぱりこれは順番通り読むべきだよねー、ってことで次回は『マリアビートル』を再読です。
ブログランキング参加中!
バナーをポチッといただけると励みになります!!
人気ブログランキング








