2024年10月27日
10月の本ダヨ
10月はこの2冊!
・ひどい民話を語る会 - 京極夏彦 / 多田克己 / 村上健司 / 黒史郎
・病葉草紙 - 京極夏彦

さて、久し振りの座談会シリーズ笑
今回は、「ひどい民話を語る会」。単なる民話ではなく、「ひどい民話」。ワクワクしますねー。
話者は、京極夏彦・多田克己・村上健司・黒史郎の4人。すみません、黒さんって存じ上げなかったです。
毎度のことながら、京極さんの行数(発言)多め笑
ところで、皆さんは民話と聞いてどんなイメージを思い浮かべますか?個人的には昔話と同義かと、いや昔話よりもっと地域せいの強いものかなーと。漠然と。
京極さん曰く、「昔話でも伝説でもない半端なゾーンは民話としか呼びようがない」そうな。
テンプレートありの昔話、土地絡みの伝説。民話と言えば…何でもあり?!
にしても、第一部はひどい!(褒め言葉/笑)
黒氏以外の三人が話すのは、ウ〇コとオ〇ラ満載の民話。多田さんのコラムによれば、民話は民間に口承されてきた民間説話とありましたが、にしても、なかなかなキワモノ系がどんどんでてくる。第二部は黒氏も加わりひどい話中心に。
桃太郎・逆さ犬・林檎の怪。婆汁や嘘つき小僧なんてもはやサイコ感さえただよう。え?桃太郎が?と思いますがなんでそーなるんだ?というようなひどいバージョンが。
自分の子供や孫など、内輪話の側面を考えると、世間一般には発することの出来ないような言葉もスラスラ出てくるものなのか笑
どーでもいいけど表紙のしょぼくれた、何とも言えない表情の犬の絵もいい。
かなりひどい目に遭わされる犬の話もある。えーと、ちょっとここでは披露出来ない内容ですが…。披露出来ないってなに?!笑 久し振りの京極さん。
相変わらずの分厚さ。そして、重い。あ、重いのは本の重量のことで、内容のことではないです。
今回は「病葉」とあるように、病絡みの連作短編。全8話収録。見てるとむず痒くなってくるような漢字が並んでいるなぁ。
舞台は江戸。
藤介は隠居の父・藤左衛門の有する長屋の代理大家をしている。
火消しや下っ引きなどさまざまな店子の中、変わり者の男がひとり。名は久瀬棠庵。膨大な書物に囲まれ、ほとんど動くこともなく、でも問題を解決する頼もしい?男(笑)
本作は病系謎解き物語。
それでは、これまた久し振りの超あらすじ!
馬癇 : 藤左衛門長屋に数ヶ月前に越してきた老人が死んだ。一緒に暮らしていた孫娘は自分が殺したと言う。濡れた紙が被せられた死体。窒息死と考えられたが、棠庵の話した真相は意外なものだった。
気積 : 巳之助の様子がおかしい、と泣きながら話すのは妻のおきん。とある普請仕事を始めてからおきんを避けるようになったという。日に日にやつれていく巳之助。その仕事の内容は驚くべきものだった。
脾臓虫 : 幸助と同郷のおたかが首を括って死んだ。同時期に四人の男が立て続けに死んだ。高級料亭・うお膳で食事をしていた四人。毒殺疑惑の目がうお膳に向けられる。四人の死因は?おたかの死んだ理由は?棠庵が解き明かす。
蟯虫 : 唐傘屋の隠居・金兵衛のところの長屋では庚申講が流行っているという。数ヶ月前にやってきた夫婦。彼らが庚申講を進めるには何か裏があるのか?事態を収めたのは佐渡奉行・根岸なる人物だった。
鬼胎 : 棠庵を訪ねてきた武家の妻女の口から出た鬼胎という言葉。親戚の娘が煩う病だが鍼で治して二度と子が産めなくなるか、放っておいてそのまま死ぬかの二択を迫られているという。話の裏にはお武家様の事情があるようで…。
脹満 : 棠庵の向かいに入った仙吉。姿を見せることはほとんどなく、藤介が訪ねても布団を頭から被っている状態だ。飯もろくに食べていないようだが、何故だかどんどん太っているらしい。
肺積 : お澄が棠庵に持ってきた縁談。相手は、昨年棠庵が旅先で偶然助けた娘だという。その後の娘の様子で恋煩いかと今回の縁談話が持ち上がったようだが、実は娘の奇行は全く別の理由に起因していた。
頓死肝虫 : その日は藤介の厄日だった。父は転ぶわ、長屋で盗人騒ぎが起こるわ、下っ引き・平吉の妹・志乃が攫われるわ。いくつもの事件が起こる中、謎を解き始めたのはなんと藤介だった。
本作ではなんと根岸鎮衛の名が!事件解決に一役買います(名前が出てくるだけだけど)。巷説珍談を集めるのが趣味な変わった人、と変わり者の棠庵に称されていました(笑)耳嚢の中には棠庵から聞いた話もあったりして…なーんて。
棠庵と藤介の会話が何だか落語みたいだった。脱線に回り道。二人の会話はかみ合っているのか?笑
「前巷説~にも連なる」と帯にあったから、話の内容がそんな感じなのかと思っていたら、後で知りましたが『前巷説百物語』に久瀬棠庵が登場していたそうなので、先の帯はそういう意味での連なりということだったんですね。
本作の全体のトーンは明るめ。事件は剣呑なものもあるけど、そこまでシリアス調にならないのは虫のお陰?いやいや、各話のト書きに描かれている虫たちの特性は十分におっかない。
そういえばこの虫たち、前にどっかで見たことあるなぁ。
あ、大妖怪展か!確かに展示リストに書かれてる。なんか子供の落書きみたいだと当時は思ってたなぁ。
そんな落書き(失礼/笑)が小説の題材になるなんて。虫ってすんごい…いや(笑)、京極さんって凄いですね。続編に期待です。
あー、巷説も読まにゃあかんなぁ。
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2024年09月29日
9月の本 それは、ある種の奇跡とか
晴れ女風だったにも関わらず、もしや雨女なのか?と自問自答しつつ、
9月はこんな本を読んでいました。
・密室偏愛時代の殺人 閉ざされた村と八つのトリック - 鴨崎暖炉

密室という言葉に惹かれて頁をパラリとめくると、『八つ箱村』の文字が。
もしや、オマージュ系?
登場人物の名前が振るっている。
日本の密室ミステリー小説界を牛耳る一族は、物柿(ものかき)家。八つ箱村の駐在が、駐在田(ちゅうざいだ)毅。旅館の女将が、女将原(おかみばら)愛美。といったように、馬鹿馬鹿しくもある意味とてもわかりやすい-ミステリーあるあるのちょいちょい巻頭へ戻っての名前確認の手間を省いてくれるような-名前の登場人物たち。
これは、単なる言葉遊びなのか。はたまた、何か重要な意味を持っているのか。
タイトルが示す通り、本編オール密室祭り!(笑) あ、いや、殺人事件なので笑っている場合ではないのだが。
高校三年生の葛白香澄は幼馴染みの大学三年生・朝比奈夜月に、無理矢理ニューネッシー探しに誘われ奥多摩へ行く。もう、事件の臭いしかしない展開。
森で迷った挙げ句に出会ったのが、物柿カマンベール。物柿家の五男。とはいえ、決してペンネームなどではなく、本名だ。
物柿家で一晩の宿を借りるべくカマンベールに連れられ向かった先は、広大な鍾乳洞の村・八つ箱村だった。
なんと村ごと箱の中ということですか。ふむふむ。巨大なクローズドサークルという訳ですな…なんて、耳覚えのある言葉でサクッとまとめてみようかと思いましたが、そこは密室偏愛。
密室が作り出す密室?飛び出す密室?心理的な密室空間から、密室という名の密室などなど、てんこ盛りで、もはや謎を解こうなどという考えは持つに至らず、理想的オーディエンスの一員として、八つ箱村を右往左往。
探偵役は葛白香澄の同級生であり、香澄以外唯一の文芸部員の蜜村漆璃。彼女はとある経歴の持ち主なのだが、それは言えない(笑)
物柿家の遺産相続に端を発したと思われた一連の事件。
数々の密室を作り上げた天才的知能犯は一体誰なのか。そして、犯人の真の思惑とは。
というか、トリックがあまりにも荒唐無稽というか壮大(笑)過ぎて、どういう心持ちで読めばよいのか、ちょっぴり困っちゃいました。
後で知ったのですが、本作は密室シリーズもののようで、こちらは第三作目。
続き物かよくわからないないけど、気が乗っていたので本作を読んじゃいました。
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2024年08月17日
6月の本
いやぁ、毎日暑いっすね。
体温越えの気温の中歩くってどういうことなんでしょうね。あー、なーんにもやる気がおきなーい。なんて、なめくじのようにぺったりして。気づけば8月も早半ば。
あれ?なにか忘れているような…。と言う訳で6月の本っ。
・メメンとモリ - ヨシタケシンスケ
・知りたいこと図鑑 - みっけ
帯には、~「人はなんのために生きてるの?」の話、とある。
この言葉だけみたら、さほど読みたい気にもならないが、ヨシタケさんの本である。なので手に取った。
タイトルも面白い。
ちいさいおさら、きたないゆきだるま、つまんないえいがの3話。
かわいい二人の姉弟が繰り広げるたわいもない会話。その中には、「人はなんで生きるの?」と言う壮大な(笑)テーマが隠されている。いや、別に隠れてる訳じゃないけど。
とかく、何か目的を持って生きろだの、悔いの無いように生きろだの。人の生き方にまであーだこーだと言う現代。
息苦しいわね~、息苦しいよね~。
で、お題。人はなんのために生きているの?
メンとモリは3つのお話の中で、あれやこれやと考えてみる。
ふたりのたどりついた答えとは。日々これ発見…とな?
一風変わった雑学の本。
言葉や略語、ファッション関連の豆知識やら、関数の表現などなど、あまりに雑多で、あまりに脈絡のない内容。
でも、素敵な本なのです。
表紙にあるのは『雨』を表す言葉の数々。飴ちゃんのモチーフ。
中身を見せられないのが残念なくらい、デザイン性に溢れている本なのです。
それぞれの項目のモチーフや構成など、内容ももちろんだけど、
くすっ、としたり「そうきたか!」と驚かされたり、とにかく頁をめくるのが楽しくなる本。
今回は図書館本だけど、これは手元に置いて楽しむ本だなー。
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