本嫌いの読書感想文
2025年07月13日
6月の本
それもこれも、度を越した暑さのせいです。
・Good Luck ー アレックス・ロビラ / フェルナンド・トリアス・デ・ベス 著 / 田内志文 訳

読みたい本リストに入れてあった本。
何きっかけだったかは忘れてしまいましたが、結論、苦手な啓発本系な感じの内容かなぁ。って、調べたら思いっきり自己啓発って書いてあるじゃん!笑
超・超あらすじ~。
ある日、公園のベンチで幼馴染のジムと出会ったマックス。苦労続きの人生を送るジムにマックスが語ったのは、とある物語だった。
はい、あらすじおしまい笑。
で、とある物語というのは、二人の男が幸せを呼ぶ魔法のクローバーを探しに行くというもの。
一人は運(人)任せ、もう一人は自ら考えて最善を尽くす。この二人の対比を通して『幸運を手に入れるには』どうすればいいか、ということを示唆してくれる…まぁ、やはりいわゆる啓発本です。というと身も蓋もないか。
だってー、話の区切りごとに格言っぽい言葉、例えば「(略)幸運をつかむには、あらゆる可能性に目を向けなくては~」云々とかが差し込まれているんだもーん。
個人的には苦手本ですが、レビューを見ていると高評価が多いので、良い本なのかも笑。
あの格言的なものがなければ悪くは無いんだけど。あ、でもそれあっての本書か。頁数が少ないのは良かったな。
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2025年06月08日
5月の本
シリアスモードから一転!なんとも微笑ましい(笑)物語を読んでみました。
・お梅は呪いたい - 藤崎翔

フムフム。元お笑い芸人とな?オカルトハートフルコメディとな?
早速読んでみましょうか~。
始まりは、とある古民家の解体作業で見つかった日本人形。かつて『呪いの人形』と恐れられたお梅が約五百年振りに蘇る!
『ゆふちゅふばあを呪いたい』
人気ユーチューバーを目指す悠斗が譲り受けたお梅。バズる動画を撮れないかと期待してのことだった。まさかお梅が呪われた人形とも知らずに。
『失恋女を呪いたい』
怜花がゴミ置き場で拾ったお梅。乳ガンを早期発見出来たことを何故かお梅に感謝する怜花。 そして更なる幸せなことが怜花の元に舞い込む。
『引きこもり男を呪いたい』
母を亡くしてからほぼ引きこもり状態の渓太。久し振りに出会った野球部時代の先輩・柏田に仕事を紹介された渓太は、社会復帰に向けて重い腰をあげたのだが…。
『老婆と童を呪いたい』
庭にボールを蹴り入れてしまった事がきっかけで、雅恵と智希の交流が始まった。祖母と孫のような微笑ましい関係に終わりを告げたのは、智希が雅恵の庭で拾った一枚の葉っぱだった。
『 老人ほをむで呪いたい』
認知症を患う勲。記憶とも夢とも区別のつかぬ曖昧模糊とした状態のまま死はもう目前だ。今際のきわに耳に入ってきたのは聞き覚えのある声だった。
まず、ハートフルコメディというのは、ある意味間違えています笑。
だって、呪いの人形がのべつ幕なし人を呪ってやろうと虎視眈々と狙っているんですよ?むしろ、ハートフルとは対局の物語。でも----。お梅がかわいいんです。
日本人形の外見とそぐわない毒舌なところもグッド笑。 家主の留守中にテレビ観ちゃったり。しかも、教育番組のみならずワイドショーや科捜研の女、そして時代を超えた同業者(人形)ちゃっきゐが活躍?するあの映画まで。現代を満喫…否、学ぶお梅。
個人的に気に入ってるのは、すっ飛んでしまった自分の首を走って取りに行くところ。うっかり動いてるとこ人間にみられちゃってるし笑。
健気に人を呪い殺そうとするお梅。 気がつけば、そんなお梅を応援している自分がいた笑。
なんて書いてると、単にお梅フィーチャー小説のようですが、いやいやどうして。
見事な伏線回収!読み終えた時には、全てが腑に落ちる。ところどころでニヤリ。
『老人ほをむで~』では、うっかり涙腺が緩みそうになりました。なんてこった!
呪いたいのに呪えないお梅のジレンマ。本書最後のお梅のつぶやきは、またまた不穏な展開を予感させる。これは続編も読まねば!
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4.5月の本 その2
翌5月へ持ち越しとなった本を指す。(書記ペディアより抜粋)
・三島屋変調百物語九之続 青瓜不動 ー 宮部みゆき

で、こちらは第9弾。
今回は、聞き手の富次郎周辺もあれやこれやと慌ただしい。そして、重大な決断を下す時が。
ってなことで、超あらすじー。
『青瓜不動』
行然坊の話していた語り手がやってきた。おちかのお産が迫った今だからこそ聞くべき話。語り手が背負っていた仏像・うりんぼ様にまつわるある女の物語。うりんぼ様に導かれた富次郎に課せられたのは、ひいてはおちかを守る重要な役目だった。
『だんだん人形』
おちかに無事赤子が生まれ、百物語も本格的に再開することとなった。富次郎と同じ年ごろの文三郎が話すのは、先祖を救ってくれた『だんだん人形』の話。その人形に秘められていたのは壮絶な人生を送った一人の少女の思いだった。
『自在の筆』
富次郎が偶然通りかかった骨董屋で見かけた元絵師。ある時、その元絵師が骨董屋に預けていた筆を盗みだし食べて事切れた。骨董屋店主が富次郎に語ったのは、『自在の筆』という恐ろしい呪いの筆と、それに魅入られた元絵師の陰惨な過去だった。話を聞いた富次郎はある決断を下す。
『針雨の里』
片腕の門二郎が話すのは自らが暮らしていた村での出来事。
風払いとう厄落としのまじないに使われる風舞さんという人形(ひとがた)に切り抜いた紙。『のふ』と呼ばれるその紙は、村を形作る源だった。門二郎が村人たちの異変に気付いたのは、奇しくも村が山の大噴火に飲み込まれる時だった。
今作も様々な人々(だけじゃないけど)のお話を堪能いたしました。 人とはかくも変化(へんげ)するものなのか、という様相をまざまざと見せつけられました。
が、おちかの赤子が無事に生まれて一安心。作中においても現実においても、時の流れを感じずにはいられません。
『青瓜不動』は、悲しい過去を持つお奈津が中心に書かれていますが、単なる暗い話に終わらず、己を叱咤しつつもがきながらも生きていく姿に、生命力の力強さを覚えます。後半の富次郎の大冒険(笑)はおちかのお産を暗示しているのですが、きゅうきゅう言ううりんぼがかわいい。いや、大変な場面なのはわかっていますが、やっぱりかわいい。
『だんだん人形』これは悲しいお話です。いつの世も虐げられるのは無辜の民。そして悪は罰せられぬまま。文三郎じゃないですが、確かに勧善懲悪とはいかずすっきりしない。でも富次郎の言う「だからおびんちゃんは(略)復讐や怨念による祟りではないお返しをした」に気付かされます。おびんの正しくあろうとする心そのものが、悪を打ち砕く力を人形に宿らせたんですね、
『自在の筆』は、筆とは思えぬ恐ろしさ。一体、どうやってあんな筆が生まれたのか。
しかも、使う本人にでは無く周りの者の命を奪ってしまうというのが一層恐ろしい。
『針雨の里』は、なんと!な展開でした。読み進めながら、何かあるなと感じてはいましたが、
まさか彼らの正体がアレだったなんて…。針雨というのも納得。彼らにとって雨はまさに針の如く。捨てられ子を見守り一人前に育てる村の人々。切ない最期にはなってしまいましたが、彼らの優しさが心に染みるお話でした。
ところで富次郎は、やっぱり絵を描くよね?って、既に十之続が出ているから、もうこの問題は解決しているんだろうな。早く次も読まねば!
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2025年05月11日
4.5月の本!
鋭い方ならわかるハズ…。
・クスノキの女神 - 東野圭吾

『クスノキの番人』の第二弾です。
月郷神社にある不思議な力を持つクスノキ。今回の中心人物は、千舟と元哉です。
柳澤千舟は現在のクスノキの番人・直井玲斗の伯母。MCI(軽度認知症患)を患う彼女の手助けとなるため玲斗は柳澤家に同居しています。千舟と玲斗の経緯については前作をご参照ください笑
ある時神社にやってきた高校生・早川佑紀奈。彼女に頼まれ自作の詩集を神社で売ることになった玲斗。売るといっても社務所前に料金箱と一緒に置いておくくらいです。
誰も手に取ることのない詩集。しかし、それをある人物が読んだことから新たな展開が。ある人物とは、千舟のつきそいで訪れた認知症カフェで出会った中学生・針生元哉。
彼は脳腫瘍のせいで、一晩寝るとその日の記憶が全て消えてしまいます。
佑紀奈の詩にインスピレーションを得て、スケッチブックに次々と絵を描きはじめる元哉。
生きることに意義を見いだせなくなっていた元哉ですが、佑紀奈との絵本制作を通してあきらめていた夢を持つことに。
クスノキの番人としての自覚が出てきた玲斗も、今回は元哉のために奔走します。自分に関わる様々な人たちを巻き込み奮戦する様は、人としての成長を感じます。
前作の感想文にも書いてありましたが、この物語の主人公は登場人物全てと言っていいくらい、心情が細やかに描かれていると思います。単なる刑事としての登場かと思われた中里の意外な事情とか。
失う情報を補完するためこまめにメモをとる千舟。
翌日には消えてしまう記憶を日記に書き留める元哉。
それは、『過去を繋ぎ止める』ための行動。
佑紀奈と元哉の絵本が完成し、関係者を集めて開かれた朗読会。
朗読をするのは、最後まで難色を示していた千舟。
彼女の口から流れてくる内容は、力強く、温かく。
千舟と元哉。年齢も境遇も異なる二人ですが、生き方に対する向き合い方、心構えは、この絵本を通じてその行き着く先――『今を生きる』という境地へと結びつけられていったのではないでしょうか。
絵本朗読のシーンを電車の中で読んでいたのですが、ジーンときて思わず天を仰ぎました笑。
結末は切ないけど、決して後ろ向きではない、そんな物語でした。
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2025年04月13日
3月の本
なんて雅な心地とはかけ離れた3月。
こんな本を読んでおりました。
・呪い禍 古道具屋 皆塵堂 - 輪渡颯介

すっかり忘れてしまっていたこのシリーズ。
前作はこれまでの関係者が総登場で、「あれ?これでシリーズ完結?」って思ってたっけ。そして、めちゃくちゃ猫もたくさん出てきて、色んな意味で溢れかえっていましたな。
実際、前作が最後って作者は語っていたらしい(単行本で読んだので知らなかったけど)。
詳しくは文庫本あとがきで笑
古道具屋・皆塵堂は、ボロい外見もさることながら、扱う品にもひと癖あり。今回の犠牲者は誰かな?笑
では、毎度お馴染み超あらすじ~。
何かが起こる店 : 顔馴染みの老人の紹介で皆塵堂にやってきた麻四郎は元料理人。来て早々に壺から這い出る幽霊を見てしまう。
足音の主 : 皆塵堂の主・伊平次と古道具の買い取りに大工の作五郎の家に向かった麻四郎。誰もいないはずの二階から聞こえる足跡を気味悪がっておかみさんは出て行ったという。
正しい楽しみ方 : 今の麻四郎の周りには不思議な人物が何人もいる。
幽霊などというものはこの世にはいない、と言い切る連助と一緒に曰く付きの古道具を買い取りに行くことになった麻四郎。そんな麻四郎にある事をたきつける人物も現れ…。
開かない引き出し : 皆塵堂を訪ねてきた麻四郎の親戚・茂蔵が語ったのは、麻四郎の身に降りかかる数々の不運に関する驚くべき話だった。
一方、引き出しの開かない鏡台を引き取りに向かった麻四郎と円九郎。若い娘がいると聞いて張り切る円九郎だったが。
のろいか : 自分の不運の元となった男の家を探す麻四郎。そして、呪いの正体が明らかに。麻四郎を皆塵堂に引き合わせた老人の正体とは。麻四郎の行き着く先は。
清左衛門が言うように(笑)、今回の派遣社員(=麻四郎)は不幸度合いが薄め。
そんなこともあってか、一時仕舞いにしようと考えていたシリーズを再継続しましたの第一弾としては、インパクトに欠けるかな。楽しく読んだけど、人側も幽霊側もエピソードにもうひとひねりが欲しかったかなぁ。麻四郎を皆塵堂に行くように勧めた老人(千右衛門)の正体も登場時点でなんとなーくわかっちゃったし。ま、そこはそれほど作者的にも隠すつもりはなかったのかもだけど。
麻四郎はちょっとした不運にちょいちょい出くわすけど、巳之助ばりに言うならば、それを呪いととるか否かは本人次第。
善なる心が引き寄せる小さな災い。
でもそう考えると、今日出くわした不運も、少しばかり肯定的に捉えられるかも。
このシリーズらしく、前向きなラストでした。
おっと、この先まだ5作も控えてるぞ!
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